ハイブリッドロケットとは

ハイブリッドロケットとは、相の異なる燃料と酸化剤を用いるロケットのことです。

 

液体ロケットエンジンや固体ロケットエンジンとは違い、酸化剤は液体で、燃料は固体で搭載されるため、爆発の危険性がない、安全なロケットです。安全で取り扱い・管理が比較的容易で、学生の宇宙開発サークルにおいては、広く普及しています。

 

 

PLANET-Qでは主に、燃料としてパラフィンワックス、酸化剤として酸素と亜酸化窒素を使用しています。

Our Rockets

2022

PQ-020  Felix-Zugvogel

2022年度8月能代共同打上実験にて打上を行った、Felixシリーズ13番目の機体。ピンクの塗装の中に白のラインがきれいに入っているのが特徴。

 

機体名:Felix-Zugvogel

機体全長:2189 mm

直径:134 mm

乾燥質量:15920 g

使用エンジン:M型エンジン

打上日時:2022/8/19 8時53分

 

メインミッションは、「2段階パラシュート機構の動作の実証」。将来的な高度化を見据えて、落下分散を抑える目的で2段階パラシュート機構の実証を行う予定だった。

飛翔時間が予定よりも短くパラシュートが放出できなかったため、2段階パラシュート機構の実証はできなかった。また、飛翔中のログについても電装系のトラブルにより一部しか取れておらず、機体下部の回収も叶わなかった。しかしながら、機体の上部は回収できたこともあり、流体シミュレーションについてや機体の強度についてなど今後に繋がる様々な知見や経験を本打上げによって得ることできた。

2021

PQ-019  Felix-ad astra

2021年度3月伊豆大島共同打上実験で打ち上げを行った、Felixシリーズ12番目の機体。青地に白いラインという、シンプルながらも洗練されたデザインが特徴である。

 

機体名 : Felix-ad astra

機体全長 : 1889 mm

直径:92mm

乾燥質量:6520g

使用エンジン:HyperTEK J250

 

打ち上げ日時:2022/3/19/12:48

 

メインミッションは「内保持式分離機構、および2段階減速の実証」。将来的な高高度打ち上げのための技術実証として、落下分散を抑えるためにパラシュートを2個搭載し、ノーズ先端にはピトー管を搭載した。

電装系のトラブルにより、ピトー管によるデータ取得はできなかった。また、パラシュートが放出されず、減速の実証も叶わなかったが、内保持式分離機構の作動を確認し、次回以降の機体に繋がる知見を得ることができた。

PQ-018  Felix-per aspera

2021年度8月能代共同打上実験にて打ち上げを行う予定だった、Felixシリーズ11番目の幻の機体。塗装の途中に金属の輝きが見えるのがアピールポイント。

 

機体名:Felix-per aspera

機体全長:2153mm

直径:123mm

乾燥質量:13080g

使用エンジン:L型エンジン

 

メインミッションは「リーフィング機構の実証とそれに関する技術の確立」である。本機体は将来的な高高度打ち上げのためにリーフィング機構を搭載し落下分散の減少を図っている。また加えてピトー管も搭載しており差圧から機体速度が測定できるようになっている。

 

新型コロナウイルスの影響で共同打上実験の開催時期が大学の後期日程までずれてしまい、打ち上げはできなかったものの機体自体はすでに完成済み。

2020

PQ-017  Felix-Sprout

2020年度3月御宿共同打上実験で打ち上げを行った、新型コロナウイルスにより打ち上げができない状態が続き、PQとして2年ぶりのハイブリッドロケット打上であった。

 

機体名:Felix-Sprout

機体全長:2675.5mm

直径:143mm

乾燥質量:19.11kg

使用エンジン:cbL_750(自作エンジン)

 

打上日時:2021年3月17日12:00

 

メインミッションは「水密機構実証およびペイロードに向けた技術の確立」であった.また,この機体では自作のバルブシステムを搭載し,新型のGSEにより打ち上げを行った.

燃焼時間が設計値より短かったため,到達高度は予想より低い233mとなった.また,パラシュートが開傘後破損し,機体はほぼ弾道落下した.

機体は損傷したものの回収でき,バルブを除くログを取得できた.(パラシュート・バルブに課題が残る打ち上げとなったが,ほぼ打ち上げ経験のない人ばかりだったので無事打つことができPMはほっとした.)

PQ-016  Felix-Footprints

伊豆大島共同打ち上げ実験がコロナウイルス拡大の影響で中止となったため、打ち上げは断念することになった。

2019

PQ-015(F)  Felix-Starduster

色々あって開発中止。

PQ-014  Felix-Camellia

2018年度3月伊豆大島共同打上実験で打ち上げを行った、Felixの名を継ぎし7番目の機体。打ち上げ地である伊豆大島の名産、椿にちなんだ機体名称で、赤と白の塗装となっている。

 

全長:2.899[m]

直径:11.8[cm]

重量:15.43[kg]

予想到達高度:1756[m]

 

打ち上げ日時:2019/03/13 07:00(JST)

実際の到達高度:1162[m]

 

メインミッションは『自主開発エンジンで高度1kmに到達』というもの。高高度化に向けた一歩として、新開発の中型エンジン、cbL-750を搭載した。また、伊豆大島共同打上実験初の海打ち機となったことから水密(防水)にも力を入れている。分離機構はFelix-Luminousからのフィードバックを受けて軽量化/改善された二段分離機構を採用した。

到達高度は1kmを超えミッション自体は完遂したものの、天候や高波のためもあって回収船が出港できず、機体はエンジンや数多のデータを抱え込んだまま海中に消えていった。残されたデータや映像から解析を進めている。

2018

PQ-013  Felix-Luminous

2018年度11月伊豆大島共同打上実験で打ち上げを行った、Felixの名を継ぎし6機目の機体。『輝き』を意味するLuminousの名が示す通り、オレンジ色が美しい機体である。

全長:1.866[m]

直径:11.8[cm]

重量:7.667[kg]

予想到達高度:225.3[m]

 

打ち上げ日時:2018/11/11 08:30(JST)

実際の到達高度:135m

 

高信頼性・再利用可能電装および、新型二段分離機構の実証をメインミッションに掲げた機体。ピトー管を含む次世代計測機器を採用した、再利用可能な電装を搭載した。また、高高度化にむけた要素技術の一つとして二段分離機構を採用し、落下分散を小さく抑えた設計となっている。

当日はGSEの不具合や不点火といったトラブルに見舞われつつも打ち上げを実施した。しかし、分離機構が動作せず弾道落下した。分離機構の冗長性不足が原因であった。

(番外機) MPGA号

能代宇宙イベント2018にて打ち上げを行った,OBたちの手によるロケット.正式名称は『Make PLANET-Q Great Again 号』である.自作エンジンであるntK-360k-OC500を搭載し,タイプエスコンペティション(打ち上げ運用の正確さを競う競技会)にて打ち上げを行った.GSE不具合により15分遅延したものの打ち上げは成功し優勝した.工数削減のための胴体を塩ビ管を用いて製作し,また確実さを期して横開き式開放機構を採用するなどの堅実な設計の一方で,カラーコーンを流用したノーズコーンやメッセージ付き垂れ幕の展開などで会場を大いに沸かせた.

PQ-012(F)  Felix-SuperSonic (開発中止)

PQ-011  Felix-ややHeavy

2018年3月伊豆大島共同打上実験で打ち上げを行った。

Felixの名を継ぎし4つ目の機体。自団体初のバルブシステムを搭載しているためPLANET-Qロケット歴代再重量機体であることから "ややHeavy" と命名された。

 

全長:2.945 [m]

直径:16.8 [cm]

重量:15.377 [kg]

予想到達高度:160 [m]

 

打上げ日時:2018/3/23 9:30(JST)

実際の到達高度:165 [m]

 

バルブシステムを搭載し、これまでのステム方式とは異なる供給システムを搭載している。これはハイブリッドロケットエンジンの推力制御に向けた実証試験である。

さらに、CFD解析を行ったり、次世代計測機器としてピトー管・ひずみゲージなどを搭載し、超音速機に向けたデータ収集を行った。

 

歴代1,2を争う大型ロケットであるにもかかわらず、事前の入念な試験&リハーサルを乗り越え、打ち上げ当日は完璧な進行でスムーズな打ち上げ&回収を行った。これはPM(プロジェクトマネージャー)のマネジメント力による成果である。

2017

PQ-010  Esperanza

能代宇宙イベント2017の海打ち初日に打ち上げを行った。

「Esperanza」はスペイン語で「希望」を意味する。この打ち上げがPLANET-Qのハイブリッドロケット開発に差し込む希望の光となることを願って命名された。

 

全長:1.636 [m]

直径:11.7 [cm]

重量:5.150 [kg]

予想到達高度:934 [m]

 

打上げ日時:2017/8/21 6:15 (JST)

実際の到達高度:878 [m]

 

PQ-008 Felix-seedですることのできなかった団体初の海打ちリベンジに見事成功した。

電装部分は防水モジュールとなっており、回収まで海水の侵入を防ぐ構造になっている。

新型分離機構を開発し、見事に成功した。

パラシュートの有効面積を制御して落下分散を小さくするリーフィング機構に挑戦したが、あと一歩のところで失敗した。

 

海打ち団体のトップバッターを担い、準備から回収まで無駄のない打ち上げを行い、三菱重工賞・なつのロケット賞をW受賞した。

PQ-009  Felix~DAWN~

Felixの名を継ぎし3つ目の機体。PLANET-Q史上初の自主開発エンジン(NTJ-360)を搭載した機体で、電装部分は防水モジュール化された。地上局の専用ソフトを開発し、誰でもロケットの状態が分かりやすくする工夫も取られた。2段分離機構を採用し、着地の衝撃を抑えることを狙った。

これらの創意工夫や安全な運用が評価され、第12回伊豆大島共同打上実験でこの機体はタイプエス賞第一位を受賞した。

 

2017/3/18 15:30に打ち上げを行った。

2016

PQ-008  Felix~Seed~

 Felixの名を継ぎし2つ目の機体。PLANET-Q史上初の海打ち実験(海に向かってロケットを打つ)用の機体で、防水で、水上に浮く設計となっている。

 全長1.556m、重量2.893kg、予定到達高度は1139.9m。パラシュート解放機構にはPQ-005 rot J で搭載した金子氏が開発した分離機構の改良版を積んでいる。

 8/25日の早朝に能代宇宙イベントで打ち上げを試みたが、エンジンに点火できず、同日2回目の挑戦でも点火プラグのスパークが起こらず、打ち上がらなかった。原因究明中である。

PQ-007 Felix~zero~

 2015年度3月の伊豆大島共同打上実験で打ち上げられたPLANET-Qの2機目の高高度モデルの機体である。

 PLANET-Q初のM型エンジン(総力積9155Ns)を使用し学生高度記録(東海大学学生ロケットプロジェクトさんの2403m)の更新を目標に製作された。

 全長約2.5m。今回は天気も幸いし、打ち上げを行うことができた。結果は無線通信で得られたデータより到達高度3160mとなったが、機体は雲の中に消え、その後、無線通信も途絶えたため機体の回収はできず、反省の残る打ち上げとなった。

PQ-006 Intercepter

 全長1064mm、重量約1.8kgの小型かつ軽量の機体で高高度を目指す機体である。

 この機体のミッションは当時ロケット界隈で流行していたJ型エンジン(総力積750Ns)で高度1km到達であり、到達予定高度は1880mとなっていた。

 実際の打ち上げではプログラムのミスにより上昇中にパラシュートが開いてしまい、記録としては630mとなった。

 これについてPM(プロジェクトマネージャー)の金子氏は「目標達成にはならなかったが、軽くて強い理想的な機体でした。個人的にはPLANET-Q史上、最高傑作だと思う。今回の設計をもとにリベンジしたい。」と述べた。

PQ-005 rotJ

前代表の松尾凌輔氏(写真右から2番目)が開発したロール制御機構実証機である。ロール制御とはロケットの回転を制御することであり、搭載カメラを常に同じ方向に向けることができるうえ、今後の技術向上の第一歩となるものである、らしい。また、この機体はPMの金子氏(写真中央下)が設計した新型分離機構も搭載し、技術実証機として多くのミッションを持っていた。結果は打ち上げには成功したものの、パラシュートが開かず、そのまま弾道落下。映像はほとんど残っていない。新型分離機構は残念ながら分離しなかった。ロール制御のログは残っており、現在解析が進んでいる。

2015

PQ-004 TRINITY

 2015年能代宇宙イベントで打ち上げ予定のロケット。

 

 この能代宇宙イベントでは、ハイブリッドロケット製作、打ち上げに加えて、初の自団体GSEの運用を行った。GSEとはground support equipmentの略であり、日本語では地上支援装置、地上支援設備と訳されるものである。

 

 これはロケット内部のタンクに酸化剤を充填したり、エンジン点火を行う装置であり、PLANET-Qはこれまで他団体の物をお借りして打ち上げを行ってきた。

 また、機体面では空力的に有利なテールコーン、強度のあるベルト式分離機構を採用し、高高度打ち上げの準備用の機体であると言え、次回の打上に備えたものになっている。

PQ-003 Izu-L

 PLANET-Qが伊豆大島打ち上げ実験で打ち上げようとした、高高度モデルの機体である。

 実際にはGSE(ground Support Equipment)の不具合や燃料の充填が確認できないなどの出来事が相次ぎ、打ち上げができなかった。

 来年度の伊豆大島打ち上げ実験では学生記録を更新するためにこの機体を踏襲したモデルのロケットを製作予定である。

 

 また、この機体にはベルト式と呼んでいる展開機構が搭載されておりより大きな加速度、大きな力にも対応できるようになっている。

   

PQ-002 Izu-J

 2015年伊豆大島打ち上げ実験にて打ち上げられた、ハイブリッドロケット。通称は伊豆J。この機体は青山学院大学さんとの缶ロケコラボ企画のために作られた。上空でペイロードを放出することができる仕様となっている。

 分離機構はPLANET-Q初のエアシリンダー方式を採用したが無事に回収することができた。

 また、ロケット名の2014は年度を表しているため、2015年3月の打ち上げであったこの機体もこのとおりであり不自然である(まぁしょうがないですね。)

 

それと迷彩の塗装が非常にcoolである。

2014

PQ-001

 このロケットは2014年8月の能代宇宙イベントで打ち上げられた機体で、PLANET-Qのハイブリッドロケットプロジェクトの復活第一号機である。この打ち上げはPLANET-Qの歴史の中でも大きな転換点になったと思われる。

 非常にシンプルな作りで、機体はボイド管にGFRPを巻いたものになっている。また、展開機構は成功率の比較的高い扉式を採用し、安定した打ち上げとなった。